胆のう炎について
- 「急に右上のお腹が痛くなる」
- 「吐き気がする」
- 「寒気や発熱が起こる」
突然このような症状が現れた場合、もしかしたら胆のう炎を発症しているかもしれません。胆のう炎は聞きなれない病名かもしれませんが、激しい痛みを伴うため早急な対処が必要です。
発症したら病院を受診するのが一般的ですが、胆のう炎は東洋医学で予防・改善することができます。本記事では東洋医学の視点から、胆のう炎について詳しく解説していきます。
東洋医学が捉える胆のう炎の原因
胆のう炎は、何らかの原因で胆のうに炎症が起こることで発症する病気です。東洋医学では身体を五臓(肝・心・肺・脾・腎)に分類して見ていきますが、胆のう炎は脾(消化器)や肝の働きに影響を受けることが多いと言われています。
肝はおもに胆汁をつくる、コレステロールを制御する、全身にエネルギーを送る、血をクリーニングするといった働きを持っています。一方、脾は脂肪組織を制御する、栄養の吸収に関わる、胆汁の力を借りて栄養を運ぶといった働きが特徴です。
肝と表裏の関係にある胆、すなわち胆のうは清らかで浄化された精汁(胆汁)を貯蔵しています。胆に蓄えられている胆汁は肝の精気によって作られたものといわれていて、脾の働きを助ける大事な物質です。
そして胆汁は、肝の全身にエネルギーを巡らす力によって量の調節がされています。そのため、胆のう炎などの胆のうに関わる症状が起こるとき、最も考えられる理由は以下の2つです。
- 肝の働きが低下して胆汁の中のコレステロール量を調節できない
- 脾の弱りから栄養をうまく吸収できず、キレイな胆汁が作れない
この2つの要因により胆石が起こりやすくなるため、炎症やウイルスによる感染症を起こして胆のう炎が引き起こされるというのが発症のメカニズムです。つまり、肝と脾の機能低下が胆のう炎の原因だということがわかると思います。
東洋医学における胆のう炎の改善法
急性の胆のう炎の場合、突然激しい痛みが右の上腹部や背中の右側に現れ、寒気や震え、発熱、嘔吐などが起こります。重症度によって対応は異なりますが、急性の場合は病院を受診するのがいいでしょう。
また、突然耐えがたいほどの激痛に襲われ、お腹の腫れや圧痛、原因不明の熱を伴うにもかかわらず、胆石がない無石胆のう炎という病気もあります。これは胆管閉塞や糖尿病、動脈硬化などが原因であるといわれています。
一方、右上のお腹からみぞおち辺りの鈍痛や不快感、重い感じがあり、発熱を伴うことがあるのが慢性の胆のう炎です。時に強い痛みや高熱、食欲不振、吐き気などを伴うことがあります。
こうした慢性症状は東洋医学の得意分野なので、症状に応じて身体の働き(主に脾や肝)を整えるために、脾や肝のツボに鍼灸を施します。熱があるときは、その部位を冷ますことで症状の改善を目指していくのが施術の流れです。
お家でできる慢性胆のう炎の予防と改善策
ここではご自宅で簡単に取り入れられる、慢性胆のう炎に効果的な予防&改善策を4つご紹介します。
①食習慣の見直し
胆石により起こる胆のう炎は、コレステロール値が大きく関係しています。食べすぎたり、脂っこいものを摂りすぎたりするなど高エネルギーかつ高コレステロールの食事を続けていると、胆汁の中のコレステロール値が上昇するため危険です。
これが原因で胆のう炎になることがあるため、まずは食生活を見直してみましょう。
- 野菜中心にする
- 腹八分目を心がける
- 肉などの動物性食品を減らし、魚や大豆などのタンパク質を多く摂る
というように、脂肪分を制限することが重要です。
②適度な運動で肥満解消
肥満状態が続くということは、それだけコレステロールが身体に多く蓄えられ続けるということです。また、余分な脂質が多いと内臓はバランスを保つために過剰にエネルギーを消費します。
それが負担となり内臓が疲れて機能が低下してしまうと、コレステロール値などが適正なバランスを保てなくなって、より太りやすく胆石ができやすくなります。こうした悪循環を解消するためは、運動をすることがオススメです。
- ランニング
- ジョギング
- 球技全般など
どんな運動が良いかというと、いわゆる有酸素運動を行うのが望ましいです。長く身体を動かすことがキーポイントとなるので、少なくとも30分は続けて運動するよう心がけましょう。
③椎茸スープを食べる
椎茸には脂肪を分解するパワーがあり、コレステロール値や動物性食品の過食による害を中和する働きがあるといわれています。胆のう炎の予防や改善に効果的な、オススメのスープレシピをご紹介します。
椎茸スープの材料
- 干し椎茸…3つ
- 水…600ml
- しょうゆ…少々
椎茸スープの作り方
- 鍋に分量分の水と椎茸を入れ、中火で30分煮る。
- 水の量が半分くらいになったら、しょうゆを少々加えて完成。
簡単に作れますので、ぜひ食事の際に一緒に飲んでみてください。
④覚えておきたい応急処置法
急な激しい痛みが起き、腫れや熱感があるのにすぐ病院へ行けないときは、豆腐パスター(湿布)を使いましょう。痛む部位に貼って、熱を引かせてください。
豆腐パスターの材料
- 木綿豆腐…1丁
- 小麦粉…1カップ
- 生姜おろし…豆腐の1割
- 布
豆腐パスターの作り方
- 材料をすべて混ぜ合わせる
- 布に1を伸ばして痛む部位に乗せる
- 2時間ほどそのままにしておく
※豆腐が黄色くなったら取り替え、貼りつけた部位に熱感がなくなったら外してください。
おわりに
胆のう炎は急性と慢性の2種類あります。慢性の胆嚢炎の場合、肝や脾に鍼灸を施すことで改善が期待できます。ご自宅で行うセルフケアも、胆のう炎の予防と改善に効果的ですので、ぜひお試しください。
もちろん、当店へのご来店もお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。