なぜお灸なのか?
「なぜお灸が身体にいいのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
院長の私は、鍼師、灸師、柔道整復師と3つの国家資格を持っています。
これまで「自宅でのセルフケアではお灸をしてください」とお伝えしてきましたが、柔道整復師の免許を持っている私が、「なぜマッサージではなく、お灸をおすすめするのか」気になりますよね。
今回はお灸の効能や種類をはじめ、マッサージをおすすめしない理由についても詳しくご説明します。
お灸の効能
まずはお灸にどんな効果があるのかをご説明します。
お灸の代表的な効果は、血のめぐりをよくし、免疫力を高めることです。さらに、お灸に含まれる成分のチネオールには鎮静、鎮痛、リラックス作用があるといわれています。
私たちの身体にある「ツボ」を刺激することで、それぞれのツボとつながっている身体の不調を改善する効果も期待できます。また、お灸は誰がおこなっても同じくらいの刺激を与えることができるという特徴もあります。
誰がおこなっても効果が期待できるお灸
東洋医学では身体の働きを「陰陽」と「五行」に分けて治療しています。このルールに基づいて「この症状に対してはこういったアプローチをしましょう」と決めてお客様と向き合います。
このルールに基づいてマッサージや鍼をおこなうと、施術者の技量で効果がかなり左右されてしまうばかりか、逆効果になってしまうこともあります。
これに対して、お灸は回数や感じる温度の違いしかありません。つまり私がお客様にお灸をする場合と、お客様が家でお灸をする場合を比べても、実はそれほど効果の違いはないのです。
誰がおこなっても同じような効果が期待できるため、自宅セルフケアでは特におすすめしています。
マッサージをおすすめしない理由
次に、私がマッサージをおすすめしない理由をご説明します。
誤解しないでいただきたいのですが、決してすべての方に対して「マッサージをしないでください」といっているわけではありません。
東洋医学の考えでは押す、揉む刺激はエネルギーが抜ける方に作用するとされています。つまり、マッサージや指圧をすることによって、身体のエネルギーが抜けてしまうということになります。
エネルギーが足りていない状態でのマッサージはおすすめしていませんが、エネルギーがあり余っているタイプの方にはむしろ「マッサージを受けた方がよいですよ」とおすすめすることもあります。
ただ、今の日本人はエネルギーが弱って身体に症状が出ている方が多く、身体本来の弱さも目立ちます。
こういった方は揉む、押すといった、身体の中のエネルギーを減らすようなことは避けていただいた方がよいかと思います。
一方、お灸はエネルギーを補う、免疫を高める、血流を上げると言われているため、エネルギー不足の日本人の身体にとっては適切でしょう。
お灸の種類
お灸と一言で言ってもさまざまな種類がありますので、大まかに紹介させていただきたいと思います。
自宅で使用されるもっともメジャーなものが「せんねん灸」などのお灸です。これが1番定番のお灸なうえ、コスパも良いと言われているので、セルフケアにはピッタリです。
台座の上にお灸があり、そこに火をつけて乗せるタイプです。裏がシールになっているので身体に貼り付けることができ、先端に火をつけて使います。
火をつけると上の白い部分は燃えますが、下の台座の部分は燃えません。つまり、直接皮膚を燃やすことはないため、初めての方でも安心して使用できますよ。
台座の部分が熱くなるので、そこから熱刺激を送ることで、不調のある部分にアプローチをしていきます。
さまざまなお灸
せんねん灸にも色々な強さのものがあり、1番弱いものであれば火傷はしづらいと思いますが、皮膚が弱い方など中には火傷をしやすい方もいらっしゃいますので、自宅でおこなう際は熱さをみながら調節してください。
もし、煙が出るのが嫌というのであれば「カマヤミニ スモークレス」と検索すると、かなり煙の量が少ないお灸が出てきます。
中には火を使わないお灸もありますので、1個あたりの金額は割高になりますが、そちらも試してみてください、
お灸のタイプ
お灸と聞くと直接燃やすタイプのものを想像される方も多いでしょう。
直接燃やすタイプのものは、大豆くらいの大きさのお灸を皮膚に乗せ、火をつけるとだんだんと燃え、熱くなります。すべて燃えるタイプなので、8分目ほどで取り除かないと火傷をしてしまいます。
熱を感じたところで取り除くとほどよい熱刺激を受けられますが、取り除く際に手も火傷してしまう可能性があるため、すぐに水の中に入れて冷やしてください。
直接燃やすタイプと台座のあるお灸、実は効果は大きく変わりません。
初めてお灸をされる方は台座が残るタイプを選んだ方が安心できるかもしれませんね。ただ、私たち鍼灸師は熱量を調節できる直接燃やすタイプのお灸を使います。
少しこだわって、熱量を細かく調節したいという場合はこちらのタイプを使った方が、よりお客様の症状をしっかりと改善できる可能性が高いからでです。
また、こより状にした米粒の半分くらいの大きさのお灸もあります。皮膚に置いて燃やし切り、チクッとした刺激を与えます。このタイプのお灸は練習が必要で火傷もしやすいので、やはり初心者の方は台座のあるお灸を使った方がよいでしょう。
この他にもお灸には棒灸、箱灸などいろいろなタイプのお灸があります。興味がある方はいろいろな種類をぜひ調べてみてくださいね。
お灸でセルフケアをして健やかな毎日を
「お灸って難しそう」と思われるかもしれませんが、最近では自宅で簡単にセルフケアとしてできる台座付きのお灸もあります。
弱いタイプだと火傷の危険もほとんどないため、初めておこなう際にはぜひこちらのタイプを試してみてください。
お灸は誰がおこなっても同じくらいの効果を得られますので、ぜひ調子が悪いときにはセルフケアに取り入れてみてくださいね。