ギックリ腰の時は、冷やす?温める?
東洋はり灸院 統括院長の石丸です。
今回は「ギックリ腰は冷やす?温める?」についてお話したいと思います。
ギックリ腰になったときには冷やした方がよいのか、それとも温めた方がよいのかについてお伝えしたいと思います。
ぎっくり腰について動画解説!
正反対の考え方
まず、西洋医学的にはギックリ腰は腰椎捻挫や腰部の筋挫傷、筋膜性の腰痛とされています。つまりギックリ腰はケガであり、ケガをしているから痛むと考えられているわけです。ケガをすると炎症が起こるため、西洋医学的には冷やした方がよいとされています。
一方、東洋医学的にはギックリ腰の原因は不通則痛(ふつうそくつう)と考えられています。不通則痛とは「通らざれば則ち痛む」、つまり流れが悪いと痛みが出るという意味です。これを蛍光灯でたとえると、蛍光灯は電気がきているから点くのであり電気がこなければ消えてしまうようなものです。流れが悪さから痛みが出ているので、流れを促進するために東洋医学的には温めた方がよいとされています。
このように西洋医学と東洋医学ではギックリ腰に対する考え方が正反対です。
ケガかどうか?
西洋医学的観点ではギックリ腰はケガなので冷やします。しかし、東洋医学的観点では流れをよくするために温めるので、同じギックリ腰の患者様でもまったく逆の治療になってしまいます。
このような状況でギックリ腰を治すためには、患者様自身が賢くならなければいけません。その方法として、まずは「ケガかどうか?」を考えてみてください。
たとえば、何か重たい荷物を持った瞬間にグキっと痛みが出た場合や強く蹴られたなどの明らかに原因がある場合の痛みはケガです。ぶつけた、殴られた、転んだなどのあとに痛みが出ている場合は冷やした方がよいでしょう。
一方、普通に生活している中で腰に違和感が起こり、そこから強い痛みが出てきた場合はケガではありません。この場合は東洋医学的に症状が出ている可能性が高いので温めるべきです。
ギックリ腰になったときにはこのように考えて判断してください。
痛いところと痛くないところの温度差
実際にギックリ腰の患者様の背中や腰をみると非常に張った状態になっています。この張りがケガによるものなのか流れが悪いことによるものなのかを見分ける方法があります。
まず、痛いところと痛みのないところを手で触り、その2か所の温度に差があるかどうかをみてください。
もしケガの場合は炎症による熱感や発赤があり、痛いところの方が明らかに熱くなっています。捻挫をすると腫れや発赤、熱感が出ると思いますが、同様にケガであれば熱くなっているはずなので冷やすべきです。
しかし、2か所の温度に差がない場合は流れが悪いために出ている痛みなので温めるべきです。また、入浴後に痛みが楽になる場合も温めた方がよいと考えられます。
患者様自身が賢くなる
温めた方が楽になるにもかかわらず通っている病院や治療院で冷やしている場合は、西洋医学的な考えのみで逆の治療をしてしまっている可能性が高いです。
これを避けるためには患者様が正しい知識を持つしかありません。
当院では、どのような疾患に対しても東洋医学的な状態なのか西洋医学的な状態なのかをみて施術をしています。本来であればこれが当然のことですが、多くの病院や鍼灸院はどちらかに偏ってしまっています。
だからこそ患者様自身が賢くならなければいけないのが現状です。
おわりに
今回、私がお伝えした冷やすべきか温めるべきかの判断基準には絶対的な自信があるので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
「ぎっくり腰の鍼灸について」はこちらのページに詳しく書きましたので、併せてご覧くださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。